神経を抜いた歯が痛い

  1. はじめに
  2. 神経を抜くということ
  3. なぜ痛いのか
  4. ヤブの言い訳
  5. いったい治るのか
  6. 考察


1.はじめに

 

「神経抜いた歯が痛い。だって神経ないんでしょ、なんで痛いんですか?」

「神経抜いた歯が噛むと痛い、なにもしなくても激痛がある」

「歯の根っこの先あたりを触ると鈍い痛みがある、治療に通っているが全然良くならない」

このメールは私に送られる患者さんからの質問で最も多いものです。そのせいで歯医者さんに時には不信感を感じ、時には怒り、時には歯医者さんを変えます。この痛みは神経を抜いてからすぐに出る場合もありますし、神経を抜く治療が終わってから何年も経っている場合もあります。しかも治療を続けていてもなかなか治りが悪い場合も多々あります。正直な話、私もこのような患者さんが年に1〜2人はいるのです。患者さんを苦しませる事は歯医者さんも望んでいません。なのになんで早く治してくれないの?という悩みに答えましょう。

 

2.神経を抜くということ

 

なぜ痛いのか?神経がないのに。それには先ず神経を抜く治療とはどんな治療なのかを知らなければなりません。虫歯が大きくなると歯の中にある痛みを感じる部分、いわゆる神経に炎症が起きます。神経に起きた炎症は基本的に治らないものですから、そこで「じゃあ神経を抜きましょう」となるわけです。神経を抜くと言っても脳みそまで取る訳にはいきません。正確には『神経を切る』のです。ではどこで切るか。これは炎症が起きていても自分の力で治せる部分、歯の根っこの先で切るのです。そうです神経を抜いた歯が痛いというのは、正確には神経を切った切り口の治りが悪いという事なのです。

 

3.なぜ痛いのか

 

神経を切った切り口の治りが悪い原因は何なのか。その原因を挙げていきましょう。

  1. 神経の取り残しがある
  2. 死んだ神経が残っている
  3. 感染が起きている
  4. 薬の詰め方が不十分である
  5. 歯の根っこの先が割れている
  6. 根っこの枝から化膿している
  7. 噛み合わせが悪い
  8. その他

などなどです。さあ、あなたの歯はどれでしょうか?どれが原因なのか、それは歯医者さん自身にも絶対コレだ!というのは分かりません。

これらの原因のなかで歯医者が悪いと言えるのは「神経の取り残し」「死んだ神経が残っている」「感染が起きている」「薬の詰め方が不十分である」「歯の根っこの先が割れている」「噛み合わせが悪い」などです。「なんだ、ほとんどが歯医者のせいじゃないか」と思われるかもしれません。そうですね。

 

4.ヤブの言い訳

 

さて、私自身にも、このような症状を訴える患者さんはいます。もちろん私の技術が未熟であるのも原因です。しかし、あえて言い訳を言わせてもらうと、歯の根っこの治療、特に治療のポイントとなるのは根っこの先なのですがココは目で見えない所なんです。虫歯なら目で見えますからここまで削ればOKというのがありますが、根っこの先の状態は手指の感覚やレントゲンや機械などのデータに頼るしかありません。また、前に別の歯医者さんで治療した歯が悪くなった場合は、完全に治す事はムリな症例(根っこの先が割れている等)もあります。また、歯の根っこが一つでなく枝わかれしている場合は掃除は非常に難しいものになります。

 

5.いったい治るのか

 

さて、じゃあ治らないのか?と思われるかもしれません。実際は結構治ります。まず、根っこの先で起きている炎症、たまっている膿を出してあげれば痛みはグッと楽になります(そこまでが大変な場合もありますが)。そして根っこの治療をやり直すのです。ただ、どうしても治らない場合もあります。その時は歯を抜くという選択をする場合もあります。

 

6.考察

 

根っこの治療はその方法、つかう薬剤、ものすごく多くの手法が存在します。何故か。それは歯医者さん自身根っこの治療に悩んでいるからです。これだっていうものがありません、ここまでやったから大丈夫って事もありません。痛いですよね。イライラする気持ちは分かります。ガンバって歯医者さんに通って丁寧に根っこの治療をやり直してもらってください。最後に私自身が歯の根っこの治療で気を付けている事が2つあります。それは師匠におそわった事「根っこの先を壊さない様にする。やり直しがしやすい様にする」という事です。